建設業界で働く人が減り、人手不足が深刻化している。国土交通省の調査で建設業就業者数はピークの1997年に685万人だったが、2021年には約29% 減の485万人。200万人も少なくなった。25年には約90万人が不足し、現場がひっ迫すると予測されている。大手の清水建設は8月8日、西区福島町のみどりの森おひさま保育園に通う年中・年少クラスの園児計24人と保育士5人を招き、2月に始めた福島公園地下のトンネル工事見学会を実施した。県内外で工事見学会を開くが園児向けは珍しい。地上では重機の試乗体験のほか、工事用エレベーターで地下40㍍まで降り、ゆくゆくはJR横川駅まで続く全長3・5㌔のトンネル工事の威容に驚きの声が上がった。担当者は、「新卒・キャリア採用は年々厳しさを増す。できるだけ多くの人に建設業への理解を広めたい。3Kというイメージがいまだ払拭できていませんが、人々の生活基盤をつくる重要な仕事。子どもたちが自宅に帰り、お父さんとお母さんに『建設ってかっこいい』と話しかけてほしい」遠大な計画だ。

「ひろしま国際指揮者コンクール」が8月7〜12日に広島で開かれた。30の国と地域から96人の応募があり、12人出場。最終審査で中国のシェン・イーウェンさんが優勝した。2022年に続き2回目で応募者は倍増。こうした国際的な指揮者コンクールは日本の地方都市で他にないという。第2回ひろしま国際平和文化祭(山本一隆実行委員会会長)の一環で、コンクールに併せて平和記念式典や平和の夕べコンサート参加のほか、被爆者の話を聞いて意見交換などを行い、平和の取り組みや歴史を学んでもらった。事前のマスタークラス(レッスン)はNHK交響楽団正指揮者で広島交響楽団桂冠指揮者の下野竜也さんが直接指導した。2回共に冠協賛した村上農園(佐伯区)の村上清貴社長は、「子どもの頃ピアノとバイオリンを習ったことがあり、若者の夢を応援したいと考えた。広島での経験が世界へ門戸を開く第一歩になるよう願います」広響の定期演奏会は年1回ペースで協賛している。

サンゲツグループで壁紙メーカーのクレアネイト(東京)が東広島市高屋台に建設中だった新工場の建屋が完成。国内最大規模を誇り、7月29日に建設会社から引き渡しを受けた。来春の試運転開始へ向け、設備導入を本格化する。井上弘一社長は、「他県で工場用地の検討を始めていたが、条件面で折り合わず、工業団地への企業誘致に力を入れる広島県と交渉の結果、素晴らしい土地と巡り合うことができた」初進出となる西日本エリアでの人材確保に並々ならぬ覚悟で臨んだ。企業認知度を高めるため、昨年から近隣市町にとどまらず隣県まで足を延ばし高校、大学、ハローワークなどを訪ね歩く。新工場で働き始められるオープンニングスタッフに一定の人気がある。来春の30人体制へ向け、年内の採用活動が正念場という。「広島は快活な人が多く、やや寡黙な県民性がある岩手県の既存工場との土地柄の違いを感じている。コミュニケーションを重ね、良いチームづくりに全力を注ぎます」来秋に予定している〝広島産壁紙〟の初出荷へ万全を期す。

8月21日午前6〜9時、(公社)ビルメンテナンス協会(杉川聡会長=第一ビルサービス会長)に加盟する清掃のプロフェッショナル15人が集まり、原爆の子の周辺の床や、折り鶴展示ガラスなどを清掃。すっかりきれいになった。曇っていたガラスを専用洗剤で洗い流したほか、周辺の床を高圧洗浄機で水洗いし、汚水をバキュームで吸い上げた。国内外の観光客が増える中、広島の美観を維持し、爽やかな思い出づくりに一役買った。同協会理事で広島管財社長の川妻利絵さんは、「協会は1975年から毎年、平和式典の翌日に清掃を実施しています。50年の節目に当たり、新たな気持ちで2回行いました。広島を訪れた人に平和への願いが伝わる、いつまでも美しい街でいたいです」

広島国際大学(東広島市)リハビリテーション学科講師の森永浩介さんはパラスポーツを後押ししたいと、成長期のアスリート向けに3Dプリンターで安価に作り替えられる義手のソケット(欠損箇所との接合部)を開発した。8月初旬に北九州市であった「国際デジタルモデリングコンテスト」に出品。多くの問い合わせを受けたという。使う人の体に合わせて義肢装具士が作ったソケットは1本35万円ほどかかる。子ども用は成長するたびに新調するため、経済的な負担が大きい。しかし、高耐久のABS樹脂を使う3Dプリンターで製作すると約900円で済む。パーツを再利用できるのも特長。生まれつき左肘から先のない女子高生アスリートの植田百音さん(尾道市)から相談を受け、5年ほど前から製作を繰り返す。100㍍走でクラウチングスタートができるようになり、5月の県障害者陸上競技大会で新記録の18秒75をマーク。活躍を支えた。森永さんは、「10代は運動能力が大きく向上する時期。技術の普及で競技に挑戦する人が増え、将来は世界で活躍する選手が生まれてほしい」

現場作業で負担だった手間を軽減できないか。改善魂から新商品が生まれた。自動車ラッピングなどのムート(安佐南区祇園)は、腕時計のように身に着けるカッター刃折り器具を開発。8月13日からクラウドファンディングサイトのキャンプファイヤーで予約販売を始めた。革製リストバンドの中央に刃幅12㍉まで対応の折り器が付く。反対の手で簡単に刃を折れるため、いちいち作業を止める必要がなくなり、安全性と効率アップが期待できる。坂本健吾社長は、「祖業の看板制作に加え、13年前に自動車ラッピング業へ進出。現場作業などでカッターを使用する機会が一層増えた。既存の刃折り器は両手を使う必要があるものや携帯性に劣るものが多く、何とかならんかと独自開発を決意。3Dプリンターの仕組みから学び、試作と研究を重ねて完成にこぎ着けた。ものづくりや美術分野などでも幅広く活用してもらいたい」10月末まで割引価格7000円で受け付けるほか、1000人限定で9350円の特別カラー品も。来年1月から順次発送する。

紙面でやり取りしながら対面で商談を行う商習慣があるせいか、不動産業界でDX化が進まないという事情があるようだ。賃貸不動産会社向けシステムを手掛けるキマルーム(中区紙屋町)は、管理会社を対象に実施した賃貸借契約更新業務に関するアンケート結果を公表した。更新業務で手間と感じているトップ3に書類の発送、返信書類対応、督促業務が上がった。課題を抱える管理会社が多い一方、改善に全く手を付けていない先が6割以上。理由は「家主に電子化への理解を得ることが難しい」(41%)など。「当社の更新・退去の管理サービスでは、1週間で7割近い更新契約が結ばれるなど、郵送よりも短期間で契約更新が完了しています。効率化した時間をインフレに対応した家賃値上げ交渉のほか、入居者の新規開拓に振り向けていただきたい」(担当者)

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