農村での事業プロデュースなどを手掛ける農ライファーズ(竹原市田万里町1178、井本喜久社長)は、今春に始めた個人向け事業「農村起業塾」の認知拡大に力を入れる。動画など一部コンテンツを9月15日まで無償提供し、農業を中心とした集客やブランディング、資金調達などのノウハウを伝授。都市部への一極集中や1次産業の担い手不足といった社会的課題が深刻化する中、農村での起業家を増やすことで地域活性化につなげたいとする。井本社長は東京で同社を起こす前年の2017年、全国の農家の成功事例を紹介する有料ウェブマガジンの発信をスタート。20年に始めた小規模農家の育成塾事業では2年間で200人以上の卒業生を輩出した。また21年に長野県伊那市と、22年には農水省と連携し、農村への移住者や関係人口を増やすための研修プログラムを手掛けた。農村起業塾ではそれらの実績と経験を生かし、農業を軸に観光や飲食、宿泊などビジネスのノウハウを伝えるほか、プランの立案からブラッシュアップ、事業化までの過程を伴走支援する。費用と期間(最短3カ月〜最長1年)は内容に応じて決める仕組みで、4月には1期生10人を募った。今回はプログラムの中からセミナー動画など13のコンテンツを同社のLINEアカウントを通じて無料配信し、8月以降に月3人の受講生を集めるという。井本社長は「これまで多くの人に農的な暮らしの魅力を伝授したが、行動に至らない例も一定数あった。無料配信をきっかけに就農人口を増やすだけでなく、農村でのビジネスは農業以外にも作物を生かした店舗運営や食品製造など、組み合わせ次第で多様な可能性があることを伝えたい」と話す。同社は18年にTheCAMPusBASEの社名で設立し22年に改称。23年に井本社長が出身地である田万里町にUターンしたことを受け移転した。農的な暮らしを探求する人のコミュニティ事業ほか、同町で米粉ドーナツ店を併設して農体験もできる宿泊施設の運営などを行う。

担当記者:近藤

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事