未来へ紡ぐ手紙
8月6日の平和記念式典には過去最多の115カ国が出席を予定するなど、8月は世界各国から多くの人が広島の街を訪れる。広島マツダが運営する中区大手町の「おりづるタワー」は広島原爆の日に合わせて屋上展望台から世界へメッセージを届ける「マイ・ハート・コンサート」を開き、漫画「はだしのゲン」著者の中沢啓治さんが作詞した「広島 愛の川」の合唱を行う。15日の79回「終戦の日」に向け、広島で感じた想いや戦後100年へ向けた「願い」、大切な人への想いなどをつづってもらう「広島からの手紙」も企画した。「展望台から望む緑あふれる美しい広島の姿から祖先(過去)〜自分(現在)〜子ども(未来)がつながり、生きているということを感じてもらえればうれしい」(事務局)
中電のCM事業
一級・二級建築士の社員50人以上を擁する中国電力は新事業の一環で、建設プロジェクトを発注者に代わって中立的な立場でサポートする「コンストラクション・マネジメント(CM)」業務を強化する。一級建築士の山城智課長は、「設計や建設会社の間に入ってプロジェクト全体の管理を代行するため、例えるならオーケストラの指揮者のような役割を担う。専門知識がない会社は社員の負担を軽減できるほか、建築士の知見を生かして事業全体を見直すことができる。総事業費を抑えられる可能性も大いにある」国は自治体にCM方式の採用を促す。しかし地域で対応できる事業者は少なく、サッカースタジアムをはじめ、地元案件の多くが首都圏の会社に発注されていると憂える。「条例をはじめ地域それぞれにルールがあり、精通した地元企業が手掛ける利点がある。まずはCM方式の良さを広めていきたい」
老舗旅館を継承
1300年前から湯の薬効が伝わる島根県大田市温泉津町。往時は石見銀山で華やぎ、十数軒もの宿が競っていたが現在は6軒が訪れた人をもてなす。その一軒。重要伝統的建造物群保存地区で営む大正元年創業の「のがわや旅館」は家電・日用雑貨品卸などの持ち株会社ソシオグループ(中区舟入幸町)が新会社を6月に設立し経営を継承。ソシオ取締役を兼務する新会社社長の河原一世さんは、「高祖父が開業し現在は両親が経営に携わっているが、コロナ禍で苦しい時期があった。私は100年ぶりの男子誕生ということで将来の跡取りと目されて金融機関に勤めながらも、いずれは家業を継ぐ気でいたが経営状態を考えると荷は重い。過疎が進む地元を何とか盛り上げたいと願っていた矢先、広島勤務でソシオグループの日高寛彰社長と縁を頂いた。経営基盤が整うことで新たな挑戦もできる。まちの魅力づくりにも一役買いたい」勤務歴数十年に及ぶ従業員もおり、重伝建保存地区指定を受け老舗の風格も備える。日高社長は、「地域の文化、伝統を絶やしてはならない。グループの7事業会社のうち3社はM&A。次代へつなぐべきものを継ぐ事業承継を担っていきたい」旅館は10室で40人定員。島根の山や海の幸が堪能できるコース料理を用意。広島から日帰りもできる。
介護に外国人材
人手不足が深刻化する全国の介護事業所のうち、45%が外国人材を受け入れる意向という(2023年度(公財)介護労働安定センター調べ)。前年度の同調査で「新たに活用する予定がある」と回答した事業所は13%にとどまっていた。わずか1年で一段とひっ迫していることをうかがわせる。5月に初めて介護の技能実習生2人を三次市にある介護施設に受け入れてもらった監理団体エーワン協同組合(東区)の澤田一成代表理事は、「実習生は共に19歳のインドネシア人女性。基本的な日本語を理解できるN4認定を取得している。外国人の介護を受け入れる側の気持ちが通い合えば、さらに要望は広がると思う。広島でも介護を担う外国人材への期待は大きい。言語の壁でサービスが滞らないよう、しっかり教育指導し介護現場に応えていきたい」一方、英語圏の外国人材は高収入を求めて都心や諸外国へ転出するケースもあり、受け入れ環境への投資リスクも懸念されるという。27年度から技能実習に代わる新制度「育成就労」がスタート。介護職も対象となる見込みで、優秀な外国人材の獲得競争がエスカレートしそうだ。
体験を生かす
経営戦略策定業務を支援するエーケンテックの江川雅典社長(63)は、印刷用刃物研磨などを主力に業歴70年の江川刃物工業を2月に任意整理。経営支援業へ軸足を移し、再スタートを切った。父親が創業した同社へ1984年に入社。その後に先代が他界したことから35歳の若さで2代目に就任。後継者不足や社屋老朽化などを理由に解散を決意した。従業員4人は社長同士で親交のあった合同印刷機材(西区)へ移った。エーケンテックは99年に設立。江川社長は、「会社の整理に多大な時間を費やしたが取引先や事業支援者、士業関係者、友人らの協力を得て円満な整理を実現できた。6月10日から本社を自宅に移し、現在は事務担当の妻と二人体制。8月末には整理のめどがつくので、今後は経営支援事業にまい進する。経営戦略のアドバイスやセミナーなどで体験を生かし、少しでも多くの経営者の役に立てるよう全力を尽くします」
断熱塗料を無償提供
不動産、太陽光やペイント事業のWAKOグループ(中区)は断熱塗料「ワコーエコシールド」を市立祇園東中学校に無償提供。夏休みを利用して施工する予定という。同校の教員から問い合わせを受け、無償で応じることにした。特別教室などが入る技術棟はプレハブ構造でクーラー設備もない。ワコーエコシールドは塗料に含まれる中空セラミックビーズが太陽光線を効果的に反射させる遮熱に加え、塗膜内の熱を放出させて熱移動を抑制する断熱効果などが期待される。特許取得済み。井手康博部長は、「多くの学校では予算の関係で特別教室に空調設備がないという話でした。当社の技術で少しでも生徒の学ぶ環境が快適になればうれしい」
新刊「うた刑事2」
編集出版を手掛けるガリバープロダクツ(中区紙屋町)は、元警察官の増本誠さんの自叙伝「うた刑事2」を7月28日に発刊する。歌謡学院で磨いた歌声で受刑者を勇気づけ、更生を促す活動の足跡をつづる。広島県警に入り3年後の21歳で慰問ボランティアを始めた増本さんは、53歳となった2006年春に早期退職。同年11月に自費出版した第1弾「うた刑事」で〝歌うお巡りさん〟としての半生を振り返っている。「その後、70歳まで篤志面接委員や保護司として活動を続けており、それらの経験をまとめた今回も更生支援への情熱を感じられる一冊。愚直に生きる著者の姿勢から何かを学んでもらえたらうれしい」(同社)税込み1430円。巻末に現在も続ける歌唱指導や、思わずニヤリとする警察時代のエピソードなども紹介。歌と笑いが持つ力を教えてくれる。
制服刷新で活気づく
自動車部品製造の広島イーグル(北広島町)は7月、社内ユニホームをこれまでの長袖作業着からポロシャツに刷新。ネイビー、ライトグリーン、ピンクなどカラーバリエーションは36色に及ぶ。 事務所・工場内を見渡すと蛍光イエローや同ピンクが多く、ビビッドな色と相まってか、大いに活気づいているという。部品製造は決められた作業を確実に、スムーズに行う工程がメイン。少しでも自由に主体的に考え、選べるきっかけになればと刷新。小松原正行社長は、「行き交う従業員のポロシャツカラーはバラエティーに富む。その日の気分のカラーユニホームでテンションが上がる。珍しい色を着ていたり、ほかの人とかぶったりすると、自然に会話が生まれる糸口になる」