コロナ禍後の国内経済の緩やかな持ち直しや、客足が回復する宿泊施設向けの需要を取り込もうと、県内の家具メーカーは大都市圏の販売網再編を進めている。営業拠点の集約や直営販売店の開設などで自社ブランドの訴求力を高め、一層の販売増につなげる。

東証スタンダード上場でベッドやソファなど製造のドリームベッド(西区)は昨年12月、同社で初めての支社を東京都中央区日本橋に開いた。渋谷の東京ショールームと横浜市の南関東営業所を集約。これまで家具販売店、ホテルなど宿泊施設、ハウスメーカーといった営業販路ごとに分かれていた拠点をまとめることで情報共有を促し、首都圏の営業強化を図る。日本橋高島屋SCも近く、富裕層の需要も喚起したいとする。高級椅子やソファなどのブランド「MARUNI COLLECTION」を展開するマルニ木工(佐伯区)は従来の卸売りに加えて、一般消費者への直販を強める。大阪市中央区農人橋のショールームを閉め、大阪のメインストリート御堂筋沿い(同区淡路町)に直営販売店を6月にオープン。今春には廿日市市の広島ショールームも直営店に業態変更しており、ブランドの世界観を直接伝える拠点を目指す。国内のホテルや飲食店からの受注も好調で、法人営業を強める方針を掲げている。大阪では他に、学習机に強みを持つ浜本工芸(南区)が専門のショールームを同市中央区常盤町に昨秋開いた。従来の大阪ショールームの別館として機能を独立させ、定期イベントを開くなど主力商品群の認知拡大を狙う。国は6月の月例経済報告で、国内の景気判断を5カ月連続で「このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」とした。一方、物価の高騰に加え、消費者動向が飲食や旅行など「コト消費」へ徐々にシフトしており、小売店の客足鈍化が懸念される。ショールームで実際に短時間寝て製品を試せる「試眠室」を設けたり、豊かな暮らし方を意識した家具と調和する生活雑貨を扱うなど、各社は購買意欲を高める工夫を凝らす。また、品質や機能性など高付加価値製品の開発も急ぐ。

担当記者:道本

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