中国電力は、工場や事務所などを新設する際、工事発注者に代わって中立的な立場でスケジュールやコスト管理を担う「コンストラクション・マネジメント(CM)」業務を強化する。発電所をはじめ自社の2000棟を超える建設・維持管理に携わったノウハウを社外向けに生かす。中国地区に同様のサービスに特化した事業者は少なく、地域での普及啓発を含めて情報発信、営業提案を進める。
建築部門(管財部門)に一級建築士43人をはじめ70人以上の建築関係社員が在籍。長年、自社の発電・変電所、事務所、共同住宅、保養施設、病院などさまざまな建物の構想から設計・工事監理、維持管理、解体撤去まで全般に関わってきた。送配電事業の分社化(中国電力ネットワークの設立)を機に、2019年10月に一級建築士事務所に登録し、社外案件を受注できる体制に移行した。CM業務は建物の発注企業から依頼を受け、設計事務所や建設会社の間に立って工期や品質、費用などが適切かどうかを管理する。一般的にCM業務の委託料は工事金額の2〜5%かかるが、専門知識を生かして設計図や工事費の妥当性を判断することで、結果的に総事業費の低減につなげるという。建物完成後の資料を適切に整理し、長期的な維持管理コストの低減にも努める。これまでグループの中電プラント岩国総合技術センターを皮切りに7件を受注(うち3件が進行中)。現在、中区の旧市営基町駐車場跡地の再開発プロジェクトでの中電NWの変電所案件に携わる。これまではグループや取引先に声掛けする程度だったが、7月に専用サイトを設け、グループ外にも発信を強める方針。事務所や庁舎、寮、工場など年間2件の受注を目指す。当面は一級建築士を含む社員4人体制で、受注次第で増員する。また建築士事務所の業務の一環で、永和国土環境(福山市)のトイレ汚水浄化システム「アクアメイク」の販売代理にも取り組む。汚水を高度処理し循環再利用することで環境保全につなげる。これまで自社の三隅発電所、大阪万博の現場用仮設トイレなどに導入した。いずれ年10件程度の導入を目指す。
担当記者:梶原