体験型修学旅行の誘致活動を展開する広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会(池田晃治会長)は、コロナ禍で約3年間中止していた民泊を復活し、2023年度は抗原検査費用の負担など感染対策を講じ、全8地域で75校6341人を誘致。受け入れ家庭が激減する一方で、修学旅行先としてG7サミットなども追い風に平和学習を起点とする広島の人気は根強く、民泊需要も高まっている。今年度は受け入れ家庭の拡大に重点を置き、地域を増やす方針で、持続可能な事業に向けた施策を打ち出していく。
75校6341人のうち民泊は43校3767泊、ベイエリア圏内ホテル泊6316泊だった。08年度から民泊を主とする誘致活動を展開し、学校や教育旅行業界などに広く認知されている。広島商工会議所や、事業推進母体で各自治体の首長クラスがトップを務める8地域協議会による広域連携の組織づくりを進め、全国でもまれな受け入れ体制で突発的な事態にも速やかな対応を可能としてきた。19年度で過去最多の116校1万5093人を記録。2万人が視野に入った矢先のコロナ禍に遭遇し、その間に受け入れ地域の人口減や高齢化が加速した。24年度の民泊受け入れ状況は予定を含め6月17日現在で66校7507人。8地域の民泊受け入れ可能人数は19年度で1770人だったが現在は670人にとどまり、5類移行とはいえ感染対策と地域振興のはざまで課題は少なくない。コロナ禍の3年間は、ラフティングや釣り、カヌーなどのアウトドア、自然体験など屋外対象の選別体験プログラムを用意して、しのいだ。費用高騰などで修学旅行先が見直される現状を踏まえ、旅行エージェントへの提案営業で成果を上げている。G7なども契機に平和記念資料館の23年度入館者数は過去最多の198万人に上り、修学旅行生は34万人を記録。広島の注目度が高まる中、今年度は4月に関西圏の旅行会社8社31事業所へプロモーションを展開し、年明けには中部圏を予定。誘致活動は広島商工会議所が中心となり、地域協議会を置く周防大島町(山口県)、江田島市、大崎上島町、安芸太田町、北広島町、福山市沼隈・内海町、庄原市・佐伯区湯来町の計8地域で受け入れるが新たな自治体の参画を目指す。研究協議会は広島〜山口県の9市6町の自治体や商工会議所などでつくる。今年度は来年3月に大崎上島町で「全国ほんもの体験フォーラム」を開催予定。
担当記者:藤井