広島地区の金融機関の２０２３年９月中間決算は、預金残高が事業者の手元資金確保、流動性や定期預金の増加等で、１２機関中９機関で前年同期を上回った。貸出金残高は備後信組と広島商銀を除く１０機関で前年同期比増だった。増収増益（利益は経常と純利益）は、広島銀行、呉信金、しまなみ信金、広島みどり信金、広島市信組、広島商銀の６機関だった。

【収支状況】広島銀は預金利息等を考慮した貸出金収支が増え、シンジケートローン等の手数料収入も増えたが外貨調達費用の増加による有価証券収支の悪化や対顧客向けデリバティブ収益の反動減でコア業務純益は前年同期比３億円減。株式等関係損益の増加を主因に、純利益は６５億円増となった。もみじ銀は、経常利益が資金利益の増加や与信関係費用の減少を主因に、前年同期比９億４４００万円増。特別損益を計上し純利益は減益。広島信金は有価証券運用利回りの上昇などで資金運用収益が増え、取引先の課題解決手数料など役務取引等収益も増加し増収。物件費の増加と国債等債券売却損の計上で経常は前年同期比２８００万円減。特別損失の減少で純利益は同２４００万円増えた。呉信金は貸出金増加で貸出金利息が３期ぶりに増え、貸倒引当金戻入益も計上し増収増益になった。しまなみ信金は貸出金利息増加、投資信託の売却益２億４２００万円を計上、貸倒引当金戻入益増加などで増収。経常費用は経費が減り投信の売却損２億３７００万円を計上し、前年同期比２億１０００万円増だったが増益となった。みどり信金は融資が増え、貸出金利息が８００万円増。有価証券売却益増加などもあり増収増益になった。

市信用は貸出金が１年間で２７８億円増え貸出金利息が増加し経常収益は過去最高を更新。経常、純利益とも過去最高を更新したが、コア業務純益は職員の待遇改善で人件費が増えるなどで、前年同期比４％減に。県信組は貸出金利息の増加などで増収だが、経常、純利益は減益に。両備信組は事業性や地方公共団体向け融資が伸び貸出金利息が増えたが、前年同期に比べ貸倒引当金戻入の減少もあり減益。備後信組は資金の効率的運用、役務収益の増加に努めたが経常収益が５００万円減で、経常費用も９０００万円増え減収減益に。広島商銀は有価証券利息配当金や融資関連手数料などが増え増収。経費が７２００万円、固定資産の処分損等の特別損失が３９００万円増えたものの、法人税等調整額が５４００万円減り、資産減損引当金繰入も減少し増益に。中国労金は預貸金が増えたが経常費用は前年同期比２億円増の７２億円になり、経常収益、コア業務純益とも減り減益に。【預金・貸出金】預金残高はしまなみ信金、みどり信金、備後信組を除く９機関が増加。貸出金は各機関が事業性融資の新規開拓や住宅ローンを中心とした個人営業などに注力している。広島銀の貸出金残高は前年同期比３４４２億円増えた。うち事業性貸出等が２９０９億円増え５兆７２４１億円。【自己資本比率・不良債権比率】自己資本比率は１０機関で前年を上回った。不良債権比率は６機関が改善した。