起業家教育や手引書などで支援
広島大学(越智光夫学長)は本年度、同大学発ベンチャー企業の設立数が累計100社を超えた。2002年設立で16年に東証マザーズ上場を果たしたフェニックスバイオ(東広島市)をはじめ、医療、情報通信などの分野で多様な企業を輩出。今後もアントレプレナー(起業家)教育の実施や、学生・教職員向け起業マニュアルの配布といった活動を通じてスタートアップ支援に注力する。
同大学発ベンチャーは昨年度に2社増え、年度末時点で99社となっていた。本年度は7月1日現在で既に6社が加わり、累計105社。直近では情報科学部に在籍する学生が、総合・推薦大学入試に特化した塾を運営する「(株)スターベルズ」を6月に立ち上げている。
現在は東証グロース上場のフェニックスバイオは、ヒトの細胞を移植したマウスでの新薬試験サービスを手掛ける。今年2月にはTOPPANホールディングス(東京)と業務提携し、体外で作製した「人工3次元肝臓組織」の試供開始を目指すと発表。創薬研究や機能性食品開発などにつなげたいとする。
他には、広島県が新興企業の事業成長を支援するプロジェクト「ひろしまユニコーン10」でも多くの同大学発ベンチャーが採択されている。例えばゲノム編集のプラチナバイオ(19年設立)は同プロジェクトが始まった22年度の優秀賞を受け、翌23年度は超高性能メモリ開発のマテリアルゲート(同23年)が最優秀賞に輝いた。24年度に低価格の眼底カメラ開発で同賞を受けたEyeVita(アイビタ、創業準備中)の水野優代表も医学部の卒業生かつ大学病院での勤務経験を持ち、今後同大学発ベンチャーとして認定される可能性がある。
これらのベンチャーを下支えするのが大学での教育だ。学部生向けに起業家精神を養う教養教育科目を提供するほか、理工系の全大学院生にはMOT(技術経営)教育を実施。またベンチャー設立を現実的なものと捉えてもらうために発行した24ページの「大学発スタートアップ起業マニュアル」では、具体的なロードマップや資金調達の方法、マテリアルゲート中野佑紀社長らのインタビューなどを掲載している。
経済産業省によると、24年10月末時点で全国の大学発ベンチャーは5074社。大学別の順位では、広島大学は20位で中四国トップ。