ITで1次産業を支援するアンドピリオド(大崎上島町中野5748ー2、藤中拓弥社長)は1月、農水産物の生産者と消費者をライブ配信でつなぎ、購入を促すサービス「全国ふるさとマルシェ」を始めた。さまざまな業界でECサイトやSNSといったウェブ上での販促活動が普及する中、1次産業では高齢化や人手不足で対応が遅れていることに着目しサービスを考案。産品の「モノ」としてのPRだけでなく、関わる人や場所の雰囲気を感じてもらう「コト消費」の要素も取り入れ、農水産業の活性化につなげる狙い。同社は農水産物を生産・販売する場所へ赴き、産品の魅力や生産者の人柄、地域の特徴などを生配信で紹介。消費者はスマホやPCで視聴しながら専用サイト上で気に入った商品を購入できる。初回の1月20日は「道の駅 三矢の里あきたかた」で猟師が鹿肉の特徴や調理法を伝えたほか、道の駅で扱う地場産品などを同社スタッフがPR。23日には安佐北区でイチゴとシイタケを栽培する農園から中継を行った。配信後は内容をアーカイブ動画として同サイトに掲載し、商品の販売も継続する。視聴者からの売り上げの一部や配信中の広告料、生産者を支援するコンサルティング料などを収入源とし、本格展開する今年6月からの1年間で2億円の売り上げを目指す。藤中社長は「高齢者が多い1次産業ではウェブマーケティングが進んでおらず、せっかくの良い産品が眠ったままになっている。当社が仲立ちすることで、多忙な生産者であっても少ない負担で広く告知できる」と話す。2月はカキを扱う呉市の水産会社と、東広島市福富町にある道の駅でジビエ肉を紹介する予定。今後は県外でも配信を行う計画だ。東広島市出身の藤中社長は2017年に大崎上島町で就農。1次産業の課題解決を目指し、22年に同社を設立した。当初はECサイトの代理運営事業を主に手掛け、創業年度の売上高は10カ月間で800万円。今回のライブ配信サービスは、県が地域での課題解決やイノベーション創出に向けた実証実験をサポートする事業「リング広島」に採択された19プロジェクトのうちの一つ。

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