ビーガンチーズなど食品の自社開発で活用図る
広大発農業ベンチャーの佐々木(東広島市八本松町、江口康人社長)は5月、農地に設置した発電パネル下で作物を育てる営農型太陽光発電でキノコの一種「タモギタケ」の試験栽培を始めた。パネル下での同種の露地栽培は全国初という。ビーガンなど素食者向け食材、原材料として1㌔3万円程度での取引を見込むほか、マヨネーズやチーズなどに使う動物性原料の代替品として加工品の自社開発にも挑戦したいとする。
タモギタケは鮮やかな黄色で、コリコリとした食感がある。別名〝ダシキノコ〟と呼ばれるほど濃厚なうまみが特長で、強い抗酸化作用があるエルゴチオネインを100㌘当たり126㍉㌘(シイタケやエノキダケの約12倍)含む。北海道など主要産地ではハウス栽培が一般的だが、同社は耕作放棄地などに設置する発電パネル下に菌床を置く栽培方法を開発。地域の温度差や環境を生かして収穫時期をずらす遅延栽培を採用し、5月中旬に兵庫の農地200平方㍍で2㌔㌘を収穫した。今月末には福岡の200平方㍍、10月に広島の100平方㍍で収穫予定。来年9月には京都の自治体と連携して2万6000平方㍍の農地で計画しており、2026年に全体で生産量50㌔㌘(乾燥状態)、売上高200万円を目指す。江口社長は「営農型太陽光発電は20〜30年のスパンでできる事業だが、農作物の単価は量産化に伴って数年で下がるため、収益性を維持するためには多様な作物を作れる方が良い。しかし設備の都合上、一度米などを育てると他の作物への作付け変更は困難。キノコ類なら菌床をゲームのカセットのように入れ替えられるため、市場価格の変動に容易に対応できる」と話した。
20年設立。営農型太陽光発電のキクラゲ栽培や農業コンサルを手掛ける。24年10月には全国でも珍しいマスタケの栽培に成功した。食品業者と提携し、収穫物を植物由来の代替卵に加工して販売。東京の高級ホテルなどに出荷している。
SBT認定を取得
5月、企業が温室効果ガス(GHG)の削減目標(SBT)を設定し、その妥当性を審査、認定する国際的なイニシアチブSBTiの認証うち、従業員数500人未満の企業が対象の「SBTi for SMEs」を取得した。
EV導入など設備投資を通じて30年のGHG排出量を24年比で58・8%削減する見込みで、SBTiが定める50%以上の条件を満たした。江口社長は「木質バイオマス発電の一部がFIT制度の対象外になるなど環境関連制度の厳格化を受け、28年度に国内で導入される予定の炭素税(CO2排出量に応じた賦課金)に先んじて対応した。農業は一見環境に良さそうだが、光合成しないキノコ類栽培はCO2排出量が大きくなりやすく、設備面でカバーする必要がある」と話す。水田からのメタンガス排出量が大きい米農家なども同様の対応が求められる可能性があるという。