蓄電池ビジネス
カーボンニュートラルの動きに伴い、無駄なくエネルギーを蓄え活用する技術の開発が急ピッチで進む。広島でも3社がタッグを組み、次世代技術と目される〝全固体電池〟を用いた「系統用大容量高性能蓄電池システム」の量産に乗り出した。太陽光発電・蓄電システム開発のQDパワー(中区本通)と電子制御機器製造のサンエス(福山市)、蓄電池事業のソリッドバッテリー(東京)は7月から、廿日市市大野で組み立て工場を操業する。8月に販売開始予定。従来のリチウムイオン電池は液体状の電解質のため温度変化に弱く、発火や液漏れのリスクがある。全固体電池では電解質を全て固体にすることでデメリットを解消。効率が良く、長持ちするという。中国の協力工場で生産したセルを大野工場で組み立て、充放電、検査などを行う。電力網やモビリティー、航空宇宙分野、防災など多用途にオーダーメード。年間10万台の出荷を計画する。蓄電池ビジネスの展望について、エネルギーコンサル会社アンプレナジー(東京)の村谷敬社長は、「今後も再生可能エネルギーの普及が加速する一方、太陽光や風力は発電量が不安定で需給調整が難しい。島国の日本は外国と違い、不足時に電力そのものの輸出入ができない。そこで、多く発電した際にためておき、供給不足のときに売る〝需給調整ビジネス〟に商機が生まれる」需要ピーク時の供給にインセンティブがあるFIP制度やJEPX(日本卸電力取引所)に加え、将来の供給力を取引する容量市場が本年度スタート。さらに活発化しそう。
川のごとく
来春開業が待たれる広島新駅ビル商業施設「minamoaミナモア」のロゴデザインが決まった。駅ビルが生み出す人々の新しい流れを、広島の日常にある水面の揺らぎと合わせて表現。デザイン事務所guide(呉市)の久保章アートディレクターが制作した。中国SC開発の竹中靖社長、市立大学の納島正弘教授、(有)IC4DESIGNのカミガキヒロフミ代表、マルニ木工の山中武会長らと共に審査員を務めた市現代美術館の寺口淳治館長は、「これから何十年も使うランドマークを肝に銘じて選定。駅ビルや周辺には多様なロゴが存在する。ミナモアはそうした多くのロゴと張り合うことなく、主張することなく、いい意味で八方美人でありたい。多くの人に抵抗なく受け入れられる、まさに川のごとく、日常的に広島駅ビルのシンボルとして永く親しまれ続けてほしい」ミナモアを象徴するシンボルマークは商標登録出願中。
子育て支援企業

広島労働局(釜石英雄局長)は、社員の子育てを支援する「くるみん企業」に菓子卸の外林(福山市)と、ポンプなど製造のテラル(同)を選んだ。外林は在庫確認などを自動化し、業務を効率化。部署ごとにノー残業デーを設けるなどワークライフバランスを高めた。テラルは就学前の子どもがいる社員向けの時差出勤制度導入や、育休の取得を促している。外林の浦上和明会長は、「働き方改革委員会の発足や、全社員から吸い上げた社内課題の改善などに積極的に取り組んできた。これからも社員の声に耳を澄まし、取り組みを持続発展させていく」テラルの菅田博文社長は、「男女の区別なく活躍できる環境づくりを最重視している。社内風土の醸成も心掛け、若く優秀な人材から選ばれる会社にしたい」くるみん企業は管内76社に広がった。認知度向上へ、6月19日にアイドルグループSTU48の久留島優果さんを初の一日局長に迎え、両社に認定通知書を交付した。
女性幹部を育成
広島県が募る「女性幹部人材育成事業補助金」1次募集の対象企業にシェラトングランドホテル広島(東区若草町)が選ばれた。人事部の鈴川佳恵部長を経営幹部として育成する事業計画が認められたという。同補助金は、企業幹部に女性社員を早期登用するなどダイバーシティ経営を実践する企業創出を目的に、社内で「女性幹部人材育成計画書」作成に要する経費の一部を県が最大100万円まで補助。同ホテルは鈴川部長が受ける外部研修機関のマネジメント強化プログラムやビジネス英語研修の受講費などに充てる。鈴川部長は、「土台となる思考力強化に加え、経営に関するすべての領域についてビジネスリーダーに必要となる経営スキルを体系的に学び、全社的な経営視点を身に付けていきたい」厚生労働省の2022年度「雇用均等基本調査」によると管理職に占める女性の割合は12・7%。同ホテルは女性社員55人中22人が管理職に就いており、女性割合は36%と比較的高い。女性のキャリア形成に向けた取り組みを充実し、県内企業の先駆けとしてけん引してほしい。
支店会議室の活用
広島銀行は移転・集約した広島東支店(南区松原町エールエールA館7階)のコミュニティルーム(会議室)の貸し出しを始めた。最大40人・半室の場合は20人収容でき、長机、イスのほか、液晶モニター、プロジェクター・ロールスクリーン、ホワイトボード、演台、マイクなどを備える。1時間税込み3960円で、平日・土日祝日に午前9時〜午後8時に利用可能。顧客向けセミナーなどがない日に貸し出す。7月からは当面月1回程度、中国新聞文化センターのカルチャースクールも開催。同行のチャネル・ネットワーク企画室は、「ひろぎんナレッジスクエアの6教室目となる『ひろぎん広島駅前校』も6月1日にオープン。無料体験会も行うなどコミュニティ拠点として新しい活用を始めています」
福山のポテンシャル
県は6月18日、県内からユニコーンに匹敵する企業を10年間で10社創出するためのプロジェクト「ひろしまユニコーン10」アクセラレーションプログラムの説明会を福山市内で開いた。地方スタートアップの強みや可能性をテーマに、(社)ふくやま社中の角田千鶴理事とサッカーチーム福山シティFCの岡本佳大代表が対談。角田理事は、「同じ人口46万人規模の倉敷、大分、尼崎市などと比べて企業数は1万5000社と多い。チャレンジしている人が多く、周りに相談できる人がたくさんいるという福山の環境が起業家を育てているのではないでしょうか」岡本代表は、「選手は移動時に福山名産ジーンズを着用してPRするなど、企業課題を解決できるパートナーを目指したい。郷土愛のある企業も多い。その思いを受け、サッカーを通じて地域社会に貢献していく循環モデルをつくればクラブが、人も経済も回るハブになれると感じている」