呉市で相次いでキッチンカーが開業した。「PIN︐S」(呉市音戸町波多見、奥田茉子代表、写真①)は5月から地元野菜を使ったグルテンフリーのスパイスカレーの移動販売を開始。倉橋町や上畑町の3カ所の耕作放棄地で無農薬タマネギなどの野菜栽培も行っている。食品販売で創業70年を超える益池松寿園が実家の松元由美さん(呉市西辰川2丁目)は、「ten&ten cafecar」=写真②=で自家焙煎コーヒーやケーキなどを移動販売している。

PIN︐Sは平日の月曜〜金曜は呉市・広島市のオフィスや工場などでランチ営業を行い、土曜・日曜は商業施設などでのイベント販売に参加する。カレー食材は自家栽培タマネギなどを使う。東京の飲食店で学んだ漢方の知識を生かしてグルテンフリーにした。洋服や雑貨、花などの販売も行う。奥田代表は呉市出身で日本大学を卒業し、東京で2年間会社勤めをしたが、呉市の魅力や課題を再認識し、高齢者の協力で耕作放棄地で約3000株のタマネギ栽培を始め、スパイスカレーのキッチンカー事業を起業した。「ゆくゆくは全国を回るキッチンカーを制作し、特産物を使った食べ物を販売することで呉の認知度アップに貢献したい」という。益池松寿園はカフェ「TERU COFFEE」として新装オープン。松元さんは実家の日本茶やコーヒーを身近に味わってほしいと、移動販売できるカフェのキッチンカーを起業した。同店舗前への出店時には焼き立てパニーニ、サンドイッチ、スープなどフードを提供。TERU COFFEEでドリンクを購入すると、同店2階でイートインも可能。店舗前以外では自家焙煎豆をエスプレッソマシンで抽出したコーヒーやラテ、100%フレッシュジュース、スカッシュも提供する。地元の鳥徳商店、手作りケーキSONNEなどとコラボしたメニューを用意する。呉市中央図書館前のほか、音戸のフォトマルシェ、女子サッカーなでしこリーグの試合会場などに出店。今後も地域イベントや祭りなどへの出店を予定する。松元さんは「移動販売で地域住民との交流によるコミュニティを強め、災害時には支援の拠点としても活用したい」と話す。両キッチンカー事業は共に第25回アクティブベースくれ地域活性化支援制度「幸運(グッドラック)」を受けた。
担当記者:大谷